3.レガシーシステムが現在も使い続けられる理由
レガシーシステムと呼ばれて久しいメインフレームですが、現在も使い続けられている主な理由を考察します。
①ライフサイクルが長い
レガシーシステムは「枯れた」(=安定した)アーキテクチャーのため、オープン系製品のような頻繁なアップデートはありません。ハードも堅牢かつフェイルセーフや予防保守の概念が徹底されているため、利用者プログラムや人為的なミスを除いてサービスの中断につながるような大規模な障害はほとんど発生しません。
そのため、システムを維持管理する側にとっては、長期間安心して使い続けることができ、耐用年数を超えて利用されるケースが多く見られます。
これによって、メインフレームを使用したシステムライフサイクルはオープン系のそれに比べて長い傾向にあり、初期投資に対する回収期間が長く、長期的に見ると経済的なメリットがある点と更改の頻度が少ないため、更改検討の機会が無かった点が挙げられます。
②更改投資がしずらい
レガシーシステムを採用している基幹系システムは、ユーザーにとっては社会インフラであったり、企業活動の心臓部に当たる処理を司っている、いわゆるインフラ系システムが大半です。
これらのシステムの特徴として、企業活動にとって必要不可欠なシステムであるものの収益または競争力の源泉に直接関与しない、いわゆるコンテキスト業務のため、経営戦略的に最もコストをかけてはいけない象限に位置していると言えます。
そのため、これらのシステムの更改投資は経営的に最も判断しづらく、最新化が進まない一つの要因です。
③想定できない更改リスク
レガシーシステムはプロプライエタリかつ、ユーザー個々に最適化されたシステムのため、互換性が保証されていないオープン系システムに移行するためには大きな技術リスクを負うことになります。
数十年も使い続けた過去の業務資産を紐解き、互換調査・検証を行う作業は、機械的な手段では解決できない要素を多分に含んでいます。
更に、前述の通り事例が極めて少なく、業界としての経験値が蓄積できていない点もリスクに対する不透明感を冗長する要因となっています。
対象となるシステムは、社会や企業インフラとして決して止まってはいけないため、ユーザー、ベンダー共にリスクをどこまでコストに転嫁すべきかが大きな悩みどころです。
以上の通り、レガシーシステムについては、基幹系システムのユーザーとの相性が良いものの、リスク、投資対効果を考慮するとユーザー個々に判断基準がそれぞれ異なり横並び的な判断にはならないために、多くの企業で使い続けているのです。
via PressSync