レガシー最新化に関する情報の見極め

レガシーシステムの最新化に関してユーザーが判断を鈍らせる一つの要因として、実現難易度に関するベンダーの見解が全く異なる点が挙げられます。

慎重論
・メインフレームベンダー
・システムインテグレーター
・マイグレーションベンダー
楽観(推進)論
・オープン系ベンダー
・ITコンサルタント

どちらも間違ってはいないのですが、見解が真っ向から矛盾する要因は二つ挙げられます。

1.視座の置き方

慎重論の論拠は、レガシーシステムを十分理解し、レガシーシステム(AsIs)を視座においてオープンシステム(ToBe)をイメージした際の難度を表現しています。
逆に、楽観論の特徴として、現在のトレンドであるオープンシステムをToBe像と仮定し、その視座からレガシーシステム(AsIs)を分析しています。

後者の場合、お互いのコンテキストが異なるため、ToBeの視座でAsIsを観た場合、オープン系アーキテクチャの実現尺度で現行のシステムを観ることとなり、現行システムの全貌である、レガシー固有の要件や付加価値を理解することができず、システムが完成に近づきユーザーが使い始めると違和感が発じ、問題が発生します。
逆にレガシーを知り尽くしたベンダーはAsIsのディテールに囚われ、同じものをToBeアーキテクチャーで実現しようとしてしまい、必要以上にコスト、リスクを積みすぎる傾向にあります。

巨大遺跡を、至近距離で虫眼鏡で調査するか遠くから双眼鏡で眺めるかの違いに近いと思います。
The Temple of Concord at Agricento in Sicily, Italy, Europe

実際は、その両者の取り組みがレガシーシステムの将来計画の策定には必要ですが、そのためには両者のアーキテクチャーを理解したエンジニアが必要です。

レガシーシステムの最新化計画においては、AsIs視点で現行のシステムを理解し、ToBeシステムのパラダイムに置き換えて時代遅れの機能を取捨選択し、時には要件レベルで斬り捨ててしまうプロセスがレガシーシステムの最新化計画策定時点で必要であると当社は考えます。

2.ビジネス上のバイアス

ベンダーそれぞれが、自社のビジネス上の事情を抱えているため、どれも自社の都合の良い訴求ポイントに絞って情報提供し、ユーザーを誘導します。
たとえば、オープン系ベンダーは自社製品の採用がビジネスの最重要事項のため、導入による効果を謳いユーザーの購買意欲をそそるものの、業務資産の移行や運用などのシステムの稼動に関するリスクについては言及しません。
システムインテグレーターは最終的にシステムの完成責任を負うため、プロジェクトリスクを考慮し、慎重にならざるを得ません。
最新化を検討する際には、ベンダー個々の提案を総合して実現性の効果、リスクを判断しながら戦略を立案する必要があり、ユーザーIT部門は非常に難しい立場に置かれています。

当社は「レガシー問題のセカンドオピニオン」として中立の立場で両者のアーキテクチャを俯瞰したユーザーのニーズにマッチした最適化方針策定のお手伝いをさせていただきます。

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